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うちの姉妹ハチょっと変だ。

 物心ついたころから、姉たちに世話されて育ってきた。
 姉たちは数が多すぎて、顔も名前もいちいちぜんぶ憶えていられない。ただ、蜂のような腰つきと、それに見合ってとっぷり張り出した尻、その反対側にある萌え始めたばかりの毛叢だけが印象に残る。
 彼女たちは、全員、裸だった。それがおかしいと気づくのは、僕がだいぶ成長してからだが。
 周囲には、同い年の姉妹たちがうじゃうじゃいた。胸も尻も出っ張っていない彼女たちが、やがてあの優しい姉たちのようになるとは思えなかったが、どうやらそういうものらしい。
 そして、僕だけが、姉妹たちと少し違っていた。胸も尻もないのは同じだが、股間の形が違っていた。
「そういうものなのよ」
 姉の一人が、優しく教えてくれた。
「あなたは、男なの。今はあなた一人ね」
「おとこ? 男だと、なにが違うの」
「それは――そのうちわかるわ」
 姉は、頬を赤らめて、言葉を濁した。
 よくわからなかったが、そういう話をしていると、股間にあるものが硬く膨らむことには、やがて気づいた。
 そうか、出っ張りなんだ。
 一方で姉妹たちを見ると、そこには筋があって、めり込んでいるようだった。
 出っ張りとめり込み。
 これは、くっつけてみるしかない。
 僕は手近な姉妹を捕まえて、股間をくっつけてみた。彼女は嫌がりもせずに、くっつけばれた部分を凝視していた。
「おもしろいわ」
「もっとやってみよう」
 相手はいくらでもいた。同い年の姉妹が、二十、三十人はいただろうか。その少女たちに、かたっぱしから僕は股間をくっつけていった。
 中には、興味を示さない相手もいた。
「これ、おもしろいの?」
「出っ張りとめり込みだよ。おもしろいじゃないか」
「わかんない。ちょっ、動かさないで」
「動かすと、なんだか気持ちいいよ」
「そんなこと……ん。ちょっと、なんか、変かも」
 それから僕は、大忙しになった。毎日三十人の姉妹たちを、気持ちよくしなければならなかったからだ。
 でもそのうち、ぺたんこの胸や尻が、物足りなくなってきた。
 世話係のお姉ちゃんたちの、毛の生えた股間に、くっつけて、動かしたい。
 最初に受け容れてくれたのは、世話係になったばかりの、まだちょろっとしか毛の生えていないお姉ちゃんだった。
「だめよ。お世話するのが私の仕事なんだから。子供と遊んでるって、上の姉さんたちに知られたら」
「いいから、そこに横たわって。お股広げて。いくよ」
 まだ成熟したばかりとはいえ、姉とくっつけっこするのは、同い年の子供とはぜんぜん違う快感だった。突起をくっつけた部分は柔らかくて、くにゅくにゃしていて、やがて濡れてきた。
 そして、お姉ちゃんたちの何人かが、くっつけっこの相手をしてくれるようになった。
 僕は、大忙しになった。一日にお姉ちゃんたち十人近くと遊び、その合間に子供たちの面倒も見なきゃいけない。お姉ちゃんと股間をくっつけて腰を使いながら、両手でそれぞれ子供たちの股間をいじるぐらいのことをしないと、間に合わなかった。
 だがやがて、すべてが明るみに出てしまう日が来た。世話係をする若い姉さんではなく、外回り係の大きな姉さんに、見つかってしまったのだ。
 僕と、そのときくっつけっこしていた姉さんは、後ろ手にねじり上げられ、何人もの大きな姉さんたちの前に引き出された。
 いつもは、育つ僕ら子供を優しい表情で見に来てくれる大きな姉さんたちは、今は怒った顔で僕らを見下ろしている。
 だけど僕はそれより、姉さんたちの下半身にばかり目を向けていた。外回りで鍛えた脚と、あくまで細い腰と、その中間でぱんぱんに張ったお尻と、触ったらじょりじょりしそうな毛と、そしてきっとその奥にある。
「どういうこと。私たちは、子供を作る仕事じゃないのよ。子供を産むのは、お母様だけなの」
「わかっています、お姉様。でも私、あんまり、気持ちよくて」
「待って、どういうこと。くっつけっこと、子供を作ることと、なんの関係がある、んですか」
 僕は、いちおう遠慮しながら、大きな姉さんに訊いてみた。
「あなたはまだ知らなくていい、と言いたいところだけど、いずれ知ることですからね。あなたは、この家で数少ない男です。他はぜんぶ女」
「はい」
「男は、特定の女の子と、その、くっつけっこですか。それをして、子供を作るのが役割なの。それを、セックスといいます」
「本能でそれを見つけてしまったのね。でも、決められた相手以外とセックスしてはいけません」
「なぜですか。気持ちいいのに」
「決まりだからです。私たちは、若いうちは小さな子の面倒を見る係、成長したら外回りで稼いでくる係。子供を作る役割ではないし、その能力もない」
「でも、気持ちいいのに。悪いことじゃないはずです、気持ちいいんだから」
「それは」
 姉さんは、少し困ったような顔をした。
「そんなに気持ちいいんですか」
 別の大きな姉さんが、あまり怒ったような表情ではなく、僕の隣にいる若い姉さんに尋ねた。
「はい、それはもう。お姉様も試してみれば。ボクちゃんとくっつけっこを。いえ、セックスを」
「あの。どうしようかしら。どうすれば」
「そこに横になって、お股を広げてください。そしたら僕がやります」
「ちょっと」
 いちばん怖い姉さんが怒るのにもかかわらず、そのやや小柄な姉さんは、でっぷりしたお尻を地面に下ろして、脚を開いた。
 毛の下の、赤い裂け目が見えた。
 僕はもう、矢も楯もたまらず、かちんかちんになった突起をその割れ目に突っ込んでいた。
 いつもと感じが違う。子供たちとも、若い姉さんたちとも違う、なにかにすっぽり入り込む感じ。
「あっ。すごい。すごいよ。お姉ちゃん。お姉さん。お姉様」
「あっ。すごい。私、セックスしてる。セックスしちゃった。あっ、あっ」
 気持ちよさが頂点に達して、僕がようやくお姉様から離れ、顔を上げると、いちばん怖かったお姉雑が、股間を押さえてもぞもぞしていた。
「あ。あなたたち。どういう」
「お姉様も。さあ」
 僕が仰向けに横たわると、大柄なお姉様はその上にまたがり、おずおずと大きなお尻を近づけてきた。
「もっと下げて。入った。わかりますか」
「あ。あ」
 いままでずっと、隠れてやっていたことを、お姉様たちの見ている前でやっている。それだけでも、感覚がまるで違う。
「下から突き上げますよ。さあ」
「あっ。やあっ。なにこれ、ああっ」
 巨きなお尻を抱えて突き上げるのは、それから僕も大好きなセックスの形になった。
 もちろん、お姉様も。
 それからは、遠慮がなかった。朝起きると、お姉様かお姉ちゃんか姉妹たちか、誰かが僕の上で腰を振っている。
 それが一段落すると、僕は適当な相手を見つけてセックスをせがむ。断られることはない。
 家の中を歩く巨きなお尻、小さなお尻、成熟したお尻、稚いお尻、どれもが僕のものなのだ。
 セックスをして、それからセックスをして、またセックスをしているうちに、夜になって寝てしまう。
 そんな毎日を送っているうちに、わずかずつの変化が出てきた。世話係だった若いお姉ちゃんがいつのまにか外回りになり、小さかった姉妹たちの身体が成熟して、世話係の仕事を始め、どこからかさらに幼い妹たちが現れる。
 お姉ちゃんたちはますます性欲旺盛になり、姉妹たちは世話係の仕事とセックスを半々にするようになり、幼い妹たちにも教えることは教えてやらねばならない。
 それでもどうやら僕は、許されていた。外回りでも世話係でもなく、セックスを仕事にするのが、僕の役割らしい。
 自分の股間に毛が生えてきてから幼い妹たちとセックスするのは、子供同士とはまた違う愉しさがあった。
 あいかわらず、姉や妹の顔や名前は憶えられなかったが、セックスのときの反応で、相手が誰だかわかるようになってきた。胸が少し小さくて奥の方が敏感な姉、腰が横に張っていて入り口で締め付けてくる妹……。
 だがあるときから、終わりの予感が始まった。家の中に特別な部屋ができ、そこに、特別な妹が育っているという。
 またそのころになると、家の中に他に何人かの男がいることもわかってきた。彼らはセックスにふけることなく、ただだらだらしているらしい。
 特別な妹が成長したとき、僕たち男の本当の仕事が始まる。
 妹を、妊娠させる仕事が。
 その日は、意外と早くやってきた。突然、特別な部屋の扉が開き、彼女が姿を現したのだ。
 その美しさに、僕は息を呑んだ。図抜けて背が高く、すらりとした体から、胸が、おっぱいがどぷよんと張り出ている。お尻はもちろん巨きく、形がいい。そして股間は、薄い毛を通してもわかるほど、最初から濡れていて、そしていい匂いがした。むしゃぶりつかずにいられないような、男を誘引する匂いだ。
 これまでの姉妹とはまったく違う、セックスと子作りのための身体だということが、一目でわかった。
 男たちは、奮い立っていた。これから彼女とともに旅立ち、新しい家で、彼女一人を相手にセックスまみれの生活を送るのだ。
 そして彼女は妊娠し、永久に妊娠し続け、何十、何百人もの娘を産み続ける。この家の母のように。
 旅立つ彼女と彼らを、僕は見送った。本来の使命を放棄して、僕はいままでの姉妹たちの元に残る。
 愛おしい姉妹たち。
 僕の寿命も、もうすぐ尽きる。それまでに、姉妹たちと何回セックスできるだろうか。

《完》

2015/10/08執筆
安東熱志

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