Pregnant Primary-school Pretties

第5話後半・大道寺知世(5年生・11歳/現在2ヶ月)

「覚えていらっしゃいますか、雪兎さん」

 知世に連れられ、彼女の家にある例の地下室に案内された雪兎は、かすかに顔をしかめた。

「二ヶ月前、ここでなにをなさったか」

「いや、なにもわからない……けど」

 具体的な記憶は何もないのに、なぜか、忌まわしい気分がよみがえってくるようだ。

 考え込む雪兎の横顔を、知世はいつもの、なにを考えているのかわからない表情でみつめてた。それがしばらく経ってから、ようやく口を開く。

「さくらちゃんが転校してしまわれたこと、ご存知ですよね」

「うん。なんか、急だったね。ぼくに逢わずに行っちゃった。桃矢に聞いても、くわしいこと教えてくれないし」

 木之本桜が彼の前から姿を消して、もう一ヶ月近くなる。それまで、自分を兄のようにしたってくれていた、と思っていただけ、一言のあいさつもなしに去ってしまわれたことがショックだった。

「雪兎さんのせいですわ」

「えっ。なぜ。ぼくがなんかしたのか、な」

「やっぱり、覚えてらっしゃらないんですのね」

「だから、なにを……」

 そう言いながら、雪兎の視線は地下室の壁に取り付けられた手かせに集中していた。

 なにか、思い出せそうなのだが。

「そうでしょうね。わたしが、お薬を飲ませてさしあげたから。記憶がないのも当然ですわ」

「……」

「でも。雪兎さんはここで、さくらちゃんに、それはひどいことをなさったんですのよ」

「ひどいこと」

「御覧になればわかりますわ」

 そう言って知世はビデオカメラを取り出し、液晶画面に用意しておいたテープを映し出した。

 そこには、一組の男女の姿が映し出されていた。どちらも全裸で、両手を縛られたまま下半身を絡ませている。性的に奥手な雪兎でも、なにをしているのかは理解できた。そして画面の中で、幼いといっていい少女の肉体を、狂ったように責めている少年の顔は。

「ぼく……? それと、さくらちゃん」

「そうですわ」

「そんな。なんで。覚えてないよ」

「雪兎さんが覚えていらっしゃらなくても、これが証拠ですわ」

 意識が自分の下半身に集中していく。そこから、具体的な記憶ではなく、ただ快感の余韻だけがよみがえってくる。

「うそだ。うそだ、こんなの」

「さ、ここですわ」

 戸惑う雪兎に、知世は動く画面を突きつけた。

『出ますの? 射精されますのね。さあ、おもいっきり、さくらちゃんのお腹の中に、いちばん奥にまで、射精してあげてくださいな』

 画面の中では、知世の言葉どおりに、雪兎が体をこわばらせ、桜が表情を崩している。泣いているとも、歓んでいるともつかない、彼が見たことのない表情だ。

「これ――まさか。ぜんぶ知世ちゃんが」

 仕組んだの、と言おうとした雪兎は、現実の知世が厳しい表情で自分を見ていることに気づき、口をつぐんだ。

「愛しあうお二人が最後まで結ばれてくれれば、とは思って、そう仕組みました。

 でも、妊娠させてとは頼んでいません」

「にんし――えっ」

「おかげでさくらちゃんは、そういう子だけを集めた特別な学校に転校させられましたわ。――私を残して」

「……」

「さくらちゃんと離れるなんて、一刻でもがまんできない」

「それは。その気持ちは、わかるけど」

「でもその学校に入れるのは、お腹に赤ちゃんのいる小学生の女の子だけ、なんですわ」

「……え。え?」

「雪兎さんの責任なんですから。――妊娠させてくれますわよね」

 微笑と無表情の中間にある知世の表情が、雪兎を上目づかいに見据える。

「私が、さくらちゃんと一緒にいられるように。協力してくれますね?」

「そんな。むちゃだ」

「私、調べましたの。排卵期とか、基礎体温のこととか。チャンスは今日だけなんですわ。雪兎さんの方は、一度なさったことだから問題ないはずだし」

「でも、なんでぼくが」

「協力して、くださいますわよ、ね」

 少女の言葉が、冷たいナイフのように雪兎の下腹に突き刺さった。

 

 困惑のためなのか、理解を絶するものへの恐怖からなのか。

 知世を拒絶しなかった理由は、雪兎自身にもわからなかった。

 ただ、少女が自分の前にひざまづき、ファスナーを開いた中に顔を埋めている、その行為を、だまって受け容れているだけだ。

 知世の右手はスカートの中に隠れながら小刻みに動き、左手はサマードレスの布越しに自らの乳頭をつまみあげている。自由に動かせる頭と舌だけで、雪兎のシンボルを探っているのだ。やがて知世は、鼻先を押しつけてペニスの硬さと大きさを確認すると、それを下着ごと咥えてしまう。

「あふっ……硬く、なってる」

 顔をやや横に傾け、軸の部分だけを唇ではさみ、ときに甘噛みする。トランクスの布が唾液でぐしょぐしょになるほどそれを続けてから、前合わせの間に長く伸ばした舌を潜り込ませ、棹の表面を舐め上げる。

「さくらちゃんのなかに入った雪兎さんのおち○ち○……。まだ、さくらちゃんの味がするみたい」

 至福の表情でつぶやきながら、知世はいっそう激しく左手を動かしている。右手で触れている未熟な部分より、まだ胸の方が快感が大きいのだ。

 それでも、まさぐる右手に触れる部分は湿り気を帯びてきている。さらりとしていた液体が粘りはじめたあたりで、知世は思いきって指を伸ばした。

「あ」

「ど、どうしたの」

「三本……入りました、わ」

 昨日はどんなに練習しても、あとちょっと、というところで、人さし指と中指の二本までしか入らなかった。いまはたしかに薬指が、その中ほどまで知世の胎内に食い込んでいる。

「これなら……もう」

 雪兎には、なにがもうなのか、三本とはなんのことか、まったくわからなかった。挿入のためには女性の側に受け容れる準備が必要だという知識もなかったし、そもそも、性交のために必要な段取りを考えてみたこともない。それはつまり、性交してみたいと思ったことがない、そういう欲望を持ったこともない、という意味だ。

 だが彼の肉体は、男性としての機能をきちんと備えて、今はいつでも知世の胎内に侵入できるよう、準備を整えている。少女の唇から解放された屹立は、鼓動に合わせてひくひくと揺らめき、すでに先端から透明な液をにじませていた。

「さあ。始めましょう」

 知世はその場で座り直した。尻をぺたりと床に落として脚を前に投げ出し、スカートを臍の上までたくしあげる。普段着にも洒脱な工夫を凝らす知世が、今日は簡単なワンピース型のサマードレスを着ている。もちろん、わざわざ選んだものだ。

 彼女は下着を穿いていなかった。一枚の布をめくっただけで、すべてが雪兎の前にさらされる。

「ここ、です。おわかりですよ、ね」

 先刻のビデオ映像は別にして、女性のその部分を直接見るのは、雪兎の意識としては初めてのことである。少女が自らの指をV字型にしてそこを押し拡げている姿は、なおさらだ。

 理由もなく唾を飲み込みながら、知世の開いた脚の間に膝をつき、身を前に倒し、仰向けに寝そべった小さな体の上にのしかかっていく。着実にそうしている自分が、不思議だった。

 恥丘のあたりに触れた雪兎の先端を指先で押さえ、知世は体を上方へずらして、位置を調節した。さっき三本の指を受け容れた部分へ、その指を使って、もっと太いものを導いていく。皮に包まれた先端がわずかにめりこみ、角度を定める。んっ、とも、あっ、ともつかない声が、双方から洩れる。

 そして知世が眉をしかめ、大きく息を吐いた、瞬間。

 雪兎の腰が深く沈んだ。

 知世の全身が硬直する。その反応にかまわず、あるいは気づいていないかのように、雪兎の腰が浮き、また沈む。それを何度も繰り返す。ときおり深く衝き入れると、少女の体が逃げるように上方へ動く。それを追って少年も前進し、また根元まで入りこもうとする。

 もはや駆け引きもなく知世は、はあ、ああ、と声を上げるばかりだ。雪兎も、なにがどうなっているのかを追求する以前に、ただ欲望の赴くままに腰を使い、快感を追い求める。

 そしてやがて、彼の待ち望んでいた瞬間が来た。体のいちばん深いところから、繋がっている部分を通って知世の内部に向け、細長く熱い快感が駆け抜けていった。

 その熱い快感が液体のかたちとなって胎内に溢れるのを感じたとき、知世もまた、自分の目的が果たされたことを知った。

 折り重なったまま、二人は身動きもせず、荒い呼吸だけをついていた。

 先に動いたのは、知世だった。のしかかる雪兎の上体を突き放すようにして、その場から逃れる。つるん、と抜けた陰茎には目もくれず、自分の陰裂を確認する。その中心から白濁した液が溢れ流れているのを確認して、ようやく、彼女は安堵した。

「これで、さくらちゃんと、おなじ――」

 小さな子宮の存在を確かめるように、知世は自らの下腹部を手のひらで撫でている。満足げな微笑みを浮かべ、すでに母性すら感じさせる表情で。

「あの……ぼくは」

 雪兎の存在に、そのときはじめて気がついた、とでもいうように、知世は彼に視線を向けた。それまでとはうってかわって、冷酷なまでの無表情で相手を見据える。

「行ってしまってくださいませんか。そこの扉から、どこか、遠くへ。もう、顔も見たくありませんから」

 

 自ら申告して大道寺知世が妊婦学級に転入してきたのは、それから一ヶ月後のことだった。

1999/08/17
minato-kusaka

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